IPOとは「Initial Public Offering」の略語の事、いわゆる株式公開を指します。現在はコロナ禍ではありますが、IPOを検討している企業数は増加の一方です。証券取引所に対するIPOの上場申請時においては、直近2期間分の財務諸表に対する公認会計士又は監査法人による監査意見が求められます。監査法人の役割としては、財務諸表監査のみならず、企業に対して適切な財務諸表監査を受ける為の体制構築についての助言が必要になり、コミュニケーションを密接に行っていく必要があります。
監査という意味では、すでに上場している会社もこれから上場を目指す会社も基本的には同じですが、通常、すでに上場している会社は規模が大きいため、担当者は一つの勘定科目を担当することも大変です。この点上場準備会社は比較的小規模なので会社全体を見渡すことも容易なことが多く、一人で多くの勘定科目を担当することができ、上場会社の監査とはまた違った意味で勉強になることが沢山あると思います。
また、会社の決算体制や資料の出来等も、上場会社では上場に必要な内部統制や決算資料の適時性や正確性等を備えた上で上場しているのでしっかりしていますが、上場準備会社はそもそも監査を初めて受ける会社も多いので、若手の会計士でも今まで上場会社の監査で培った知識で相談に乗ったり、エラーを発見するなどで会社から頼りにされることが多いと思います。
会社の担当者という意味でも、上場会社では科目毎に担当者が違ったりして、CFOともなかなか最初のうちは話す機会もないかと思いますが、上場準備会社では若手の会計士でもCFOだけでなく直接経営者とも話す機会があることが多く、経営者の考え方も知ることができて勉強になることは多いかと思います。
この様な中で実際に上場が果たせる会社は一握りではありますが、実際に上場出来たなら担当した会計士にとっても大きな達成感を得ることができ、今後の長い会計士人生の中でも大きな自信になるのではないかと思います。
IPO監査について少し詳しく話しますと、上場申請時においては直近2期間分の財務諸表(連結財務諸表を含む)が必要であり監査意見が求められます。
財務諸表が正確なことは当然ですが、IPOでは正確な上に適時なタイミングで開示することが求められるため、会社が適正な財務諸表を迅速に作成し、監査を受けるために会社側と監査人側で年間の決算スケジュールや会計上の問題点を事前に把握、情報共有するといったことが大切になります。
その上で突発的に起こった事象や問題等について、密なコミュニケーションで情報共有を図り機動的に対応する必要があります。この点、当法人ではパートナーが適時に会社へ往査し、当該事象や問題等に早期に対応することを心掛けており、必要であれば事前審査等で早めに当該部分の審査を受けて、問題に対する対応を確定させることが可能で、この点は大きな魅力であると思われます。
当法人のIPO支援室としては、会社からIPOのご相談をいただくとIPOを果たすまでに会社にどの様な課題や問題点があるのかを洗い出すための調査(ショートレビュー)を行います。その上で監査チームを組成して監査を実施していくことになりますが、監査チームの組成においても過去にIPOを経験しているバートナーや主査等に加え、IPOをやってみたいという若手の会計士をうまく織り交ぜて法人内でIPOに関する知識を伝達できるように工夫しています。
また定期的に外部講師等によるIPO勉強会を実施することで、最新のIPO知識の習得ができるだけでなく、他のIPO監査チームの人達と交流することで、IPO特有の疑問や悩み等を共有するできる法人内人脈を得られるようにしています。
このようにして世代を超えて積み重ねられたIPOに関する知識は法人の財産となっており、この財産を享受できることは監査を依頼する会社はもちろんのこと、当法人に入所する若手会計士にとっても大きな魅力といえます。
東陽にはIPO専門の部署がなく、業種にとらわれない監査部門の中で上場会社の監査を行っている会計士がIPO監査を行っております。一見IPO専門の監査チームの方がよい様に見えるかもしれませんが、IPO監査においては最終的に上場会社になることを目指す訳ですし、上場した後は上場会社として同じ監査チームが引き続き監査を行うことは上場したばかりで不安が多い会社にとっても安心感につながると思います。
また若手会計士にとってもIPO監査だけに偏ることなく、様々な業種の垣根がない部門の中で上場会社の監査とIPO監査を同時に両方経験できることは成長の機会を増やすことができるものと考えています。
東陽監査法人は若手会計士の経験と成長を全力で支援できる監査法人です。手を挙げれば入所後でも比較的早い時期で機会がもらえる、そんな環境の中でぜひ自分のキャリアの幅を広げていただきたいと思います。
高校で唯一面白さを感じた授業が「簿記」でした。大学に入って公認会計士という職業を知り、せっかくなら自分の興味がある分野の仕事に就こうと思ったのがこの道に進む始まりです。
IPO監査は、公認会計士を目指した頃からやってみたいと思っていました。上場企業の監査業務と違い、IPO監査はゼロからつくり上げる。そこに何か面白さがあるのではないかと働く前からイメージを持っていました。実際に、IPO監査は経営者や経理の担当者から初歩的な質問を受けたり、公認会計士の指導的機能を発揮したりしながら、二人三脚で上場を目指していくことになり、大変だけどやりがいを感じられる仕事です。今ではIPO監査と上場企業の監査の両方を手掛けることに意義を感じていますが、当時はそんな思いでした。
就職にあたって、大手監査法人のIPO部門を中心に活動していました。東陽は、IPOの専門部署こそないものの、大手と同じIPO監査に携わる環境があり、新人でもIPO準備会社のチームに入れるというお話をいただけたことから、最終的に東陽を選びました。やりたい仕事ができるのであれば規模にこだわる必要はないと思い、ここでプロの会計士を目指そうと決めました。とにかくIPOをやりたい気持ちを優先した就職活動でした。
入所以来4社のIPO監査に携わり、うち2社が上場しました。インチャージになって自分のチームで上場を支援できた会社は1社となります。IPO専門部署がない中で、すでに4社のIPO監査業務に関われたのは、自ら希望して東陽に入ったことと無関係ではないと思います。
IPO監査の普段の業務は、通常の監査と大きく変わりません。いざ上場が近づくと、証券会社や証券取引所とのヒアリング、契約の巻き直し、コンフォート・レター、上場申請のための有価証券報告書の大詰めなどの業務が加わり、とても忙しくなります。しかし、IPO監査の仕事は、通常の監査のように毎年同じスケジュールで進むわけではありません。ある日急に決まった期限に対して、逆算していつ何をすればよいか、分からないことも多いため、とにかく調べ、人に聞いて、自分で考えながら進めていきます。
監査はチームで仕事するため、なるべく仕事は分担して行うようにしています。自分一人で頑張って処理したほうが楽な仕事もありますが、そこで多少効率が上がるよりは、いろいろな人に分担して、全員が仕事に関わって全員ができるようになったほうが、長期的に見た場合に効率的です。たとえば、自分が体調不良になった場合を想像しても、チームで対処できれば滞りなく進み、メンバー各人に当事者意識ができて、質の高い監査になります。仕事をばらけさせて、みんなで対応するほうが結果的には効率がいいと考えています。
上司には、なるべくたくさん相談をして、しつこいと思われるくらい報告をこまめにしています。しかし、その方が上司も安心できるし、ミスなく仕事が進む可能性が高くなります。
自分がどんなに忙しくてもメンバーには手を止めて教えるよう心がけています。私も上司にそうしてもらって成長できたので、教育も大事な仕事として取り組んでいます。
クライアントはこれまで監査自体を受けたことのない会社なので、当然分からないことが多く、「これどうしたらいいですか?」といった基本的な質問から始まります。上場プロセスを把握していないので、「明日までに対応してほしい」などの相談が急に発生したりします。さまざまな事情から上場が計画よりも後ろに倒れることもよくあります。
こういったイレギュラーな状況の中でも柔軟かつ適切に対応していった経験が自身の成長につながっていると思います。スケジュール変更は、他の案件への影響を抑えるために、上司やチームメンバーなど様々な方にお願いをしてまわることになります。大変ですが、インチャージはチームの主軸として活躍できますし、企業の経営層の方々と直接話す機会が多く、頼られる存在にもなってやりがいを感じます。そして無事に上場を迎えることができたら、クライアントから「ありがとうございました!」と感謝されます。これこそがIPO監査ならではの経験であり、自分の成長を実感する機会だと思います。
現在、準大手監査法人はIPO監査の依頼が非常に多く、IPO監査に携わりたいと考えている方には絶好の機会です。東陽は部門の垣根がないので、手を挙げればIPOのクライアントに実際に携わることができる環境です。
また、いきなりIPO現場に出ても困らないように、バックグラウンドがあるメンバーと若手を中心に、外部コンサルティング会社を講師に招いて月1回程度勉強会が開催されています。